<競泳:日本選手権>◇最終日◇13日◇東京辰巳国際水泳場

 豪快な泳ぎで、塩浦が水を裂いた。188センチ、91キロの巨体で2位以下に差をつける。21秒88。夢見てきた21秒台を確認すると、右手で思い切り水をたたいた。雄たけびをあげた。「やっと出た」。1日に祖父健一さんが79歳で死去。「天国に届くタイムで泳ぎたかった」と、体に似合わない優しい笑顔で話した。◆男子50メートル自由形◆1位塩浦慎理(イトマン東進)21秒88=日本新2位伊藤健太(ミキハウス)22秒363位中村

 克(早大)22秒38ベンチプレス10キロアップ

 昨年6月の欧州遠征では全5レースで表彰台に立った。初出場の世界選手権は100メートル10位だったが、メドレーリレーで銅メダルを獲得し「世界でメダルをとる大切さを知った」。パワーアップの必要性を痛感して、この1年は筋トレも重視。体重を2キロ増やし、ベンチプレスも「軽く115キロ」と10キロ増量した。タッチで骨折、伝説の豪快男

 12年ロンドン五輪は選考会直前の負傷で落選。タッチの際に力が余って左手人さし指を骨折した「豪快伝説」だった。夢だった五輪を逃して一時は水泳をあきらめ、就職活動もした。しかし、周囲の励ましで再起を決意。だからこそ、五輪にはこだわりがある。日本のリレーにとって大きな自由形短距離のエース誕生だが「リオでは個人種目で表彰台に立ちたい」と言い切った。「誰よりも速く泳ぎたい」と自由形にこだわってきた塩浦。史潤強(中国)の持つアジア記録(21秒95)も更新した男の次の標的は、五輪のメダルだ。