【パリ23日=吉松忠弘】世界の「エア・ケイ」が優勝候補に名を連ねた。25日に開幕するテニスの4大大会今季第2戦、全仏オープンは会場で本戦組み合わせ抽選を行い、68年オープン化以降、4大大会では日本男子最高の第9シードとなった錦織圭(24=日清食品)は、1回戦で世界ランク62位のクリザン(スロバキア)と対戦する。

 この日、会場で行われた抽選会で、一気に錦織が注目を集めた。抽選会前に、今年の大会に向けた映像が流され、錦織は、昨年覇者のナダル、世界2位のジョコビッチに次ぐ3番目に登場。「大好きな大会のひとつ。楽しみにしている」と、映像の中で話した。

 関係者によると、「日本選手が取り上げられるのはたぶん初めて」という。それほど今大会では注目度がアップ。優勝候補の一角に名前が挙がるほどだ。ツアー通算5勝目を挙げた4月のバルセロナオープン、決勝でナダルに勝ちかけたマドリードオープンの印象は、全仏でも鮮烈だった。

 問題は自らの体だ。マドリードで再発した左股関節や左ふくらはぎの痛みは、まだ完治していない。拠点としている米フロリダで受けたMRI(磁気共鳴装置)検査では異常がなかった。大きなケガではないが、この日、センターコートでの1時間の練習でも、負荷がかかるサーブは1球も打たなかった。

 順当に行けば、3回戦で同21位のドルゴポロフ(ウクライナ)、4回戦で同9位のラオニッチ(カナダ)、準々決勝で同2位のジョコビッチ(セルビア)との対戦が予想される。体が万全であれば、33年佐藤次郎以来81年ぶりの8強入りも夢ではない。