<テニス:全米オープン>◇第4日◇28日◇米ニューヨーク・ナショナルテニスセンター

 世界11位の錦織圭(24=日清食品)が完全復活だ!

 同48位のアンドゥハール(スペイン)に6-4、6-1とリードしたところで、相手が右肘の故障で棄権した。錦織は4大大会通算勝利を33勝とし、並んでいた佐藤次郎(故人)を抜いて、日本男子4大大会単独最多となった。3回戦では同26位のマイエル(アルゼンチン)と対戦する。

 「弾丸テニス」で、錦織が完全復活ののろしを上げた。ラケットを振り切り、弾丸のように豪打を放ち、アンドゥハールを破壊した。「ほぼ100%戻ってきている。自信もついてきた」。4日に手術を受けた右足親指の不安も減り、コートに力強い足音が響いた。

 第1セットの4オールから、錦織が一気にスパークした。「ギアを上げた。守らず攻めていけた」。5-4リードから、武器の弾丸フォアをぶちかまし、3発でしとめた。第2セットは1オールから5ゲームを連取。右ひじを痛めたアンドゥハールから、プレー続行の気力を奪った。

 今年に入り、チャン・コーチから「攻撃の範囲をもっと広げられる」と指摘された。自ら「売り」と誇るフォアの豪打に磨きをかけた。「攻めることができる時には攻める」。練習でも、20発近く連続でフォアをハードヒット。畳みかける勇気と力を養った。

 右足母指球の隣にできた腫れ物を切除した痕は、まだ完治していない。1日から実戦を離れたため久しぶりの2試合で、右すねに少し張りがある。予防のためにテーピングをした。「足の感覚を試したり、少しずつ前進したい」。この日の2セット試合は体力温存、ケガの回復にも理想的だ。

 この1勝で4大大会通算勝利が日本男子単独最多となった。戦前に、全仏、ウィンブルドンで計4回ベスト4に入った佐藤次郎(1931~33年に活躍)を抜いた。しかし、本人はまだ少ないとばかりに苦笑い。「100勝を目指します」と、高い目標を掲げた。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定

 30日午前7時55分~、31日午前0時~、WOWOWライブ。第5日ナイトセッション、第6日デイセッション。男女2、3回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。