<男子テニス:ATPツアー・ファイナル>◇第3日◇11日◇英ロンドン・O2アリーナ◇1次リーグB組シングルス2試合ほか

 【ロンドン=吉松忠弘】宿命のライバルを撃破し、準決勝に進出だ!

 世界5位の錦織圭(24=日清食品)が、準決勝進出をかけて13日(日本時間同日深夜)の1次リーグB組最終決戦で同8位のミロシュ・ラオニッチ(23=カナダ)と対戦する。ラオニッチに勝ち、フェデラー(スイス)がマリー(英国)に勝てばB組2位で準決勝進出が決まる。4人とも準決勝進出の可能性を残す中、今季5度目の対戦で、3勝1敗と勝ち越す同世代にすべてをぶつける。

 いつも大事な場面で196センチ、98キロの巨漢が立ちはだかる。錦織の自身初のウィンブルドン4回戦、2日がかりの全米4回戦、2週連続優勝を決めた楽天オープン決勝。「いつもタフな相手。リターンがキーになる」。未来を担う次世代のライバルとして、決して負けられない相手だ。

 今年のウィンブルドン。ラオニッチは4回戦で錦織を破り、その勢いで自身初の4大大会4強入りを果たした。錦織は、9月の全米4回戦でリベンジ。8強入りした時、「まだまだ満足できない。ラオニッチらはベスト4に進んでいるし」と、ライバル心をあらわにした。その対抗心でアジア男子初の準優勝という快挙に結びつけた。

 常に壮絶なバトルとなる。ラオニッチが放つ、今季世界で2番目に多い1100本を超えるサービスエースが最大の壁だ。「あれだけ打たれると嫌気が差してくる」。しかし、時速約230キロの爆弾サーブを得意のリターンで返球するのが、錦織の真骨頂。正反対のスタイルだからこそ、ライバルとして面白い。

 錦織はフェデラーに敗れ、今大会初の1敗を喫した。右手首に痛みを抱え不安は残る。ラオニッチは、マリーに敗れ、勝ち星なしの2戦全敗。ただ、第3日を終え、まだ準決勝進出者が決まらない。錦織は自力では決められないが、勝つことが準決勝への大きな前進となる。「ストローク戦に持ち込んで、リズムをつくりたい」。今季最後のライバル対決で、歴史的な1歩をつかみ取る。