全国高校バスケットボール選抜優勝大会(日刊スポーツ新聞社主催)は23日、東京体育館で開幕する。女子は昨年ベスト8の常葉学園が4年連続で出場する。昨年12月6日に他界した部の功労者で前学園長・木宮和彦さん(享年86)の一周忌法要を終えた妻の明恵(はるえ)夫人が応援に駆けつける全国舞台。チームをけん引する双子の稲葉さつき、さくら(ともに3年)の双子姉妹が「木宮イズム」を胸に刻み、23日の奈良文化(奈良)との初戦に臨む。

 今月10日、常葉学園の選手たちは、他界した木宮前学園長の妻、明恵夫人の激励を受けた。一周忌法要を終えた同夫人から全国大会の応援に駆けつけることを伝えられた。チームを支える双子の姉、稲葉さつき主将は「見に来てもらえるので、恥ずかしくない、常葉らしい試合をしたい」と気持ちを高ぶらせた。

 稲葉姉妹は、木宮夫妻が常にバスケットボール部を支え続けてくれた功労者だと知っている。04年4月11日に完成した部寮の名前は「明和寮」。前学園長夫妻の名前の漢字を入れて命名されたという。団旗にも「明和」の文字が刻まれる。病気がちだった前学園長とは亡くなる1年前の選抜優勝大会県予選前に会ったのが最後。妹さくらは「1年生だった時でした。大会前に来てくれて、激励の言葉をかけてくれました」と鮮明に記憶している。

 小前宏史監督(54)は「(木宮さんの)心のDNAは(選手の)体にあるはずだよ」と強調する。監督自らも87年、当時理事長だった木宮さんに「5年以内に全国に行く」と熱意を伝え、指揮官に就任した経緯がある。小前監督は「また一周忌で泣けてきた」と選手以上に気持ちを奮い立たせている。

 チームのジャージーに刻まれた「平常心是道」の文字は、木宮さんの直筆をプリントしたものだ。22日に18歳の誕生日を迎え、23日の初戦の臨む稲葉ツインズは「1勝でも多くしたい」と昨年以上の躍進を誓った。【藤中栄二】