大相撲の野球賭博事件で、賭博開帳図利ほう助容疑で逮捕された阿武松(おうのまつ)部屋の元幕下山本俊作容疑者(35)が、指定暴力団山口組弘道会系組長(2009年8月に死亡)側から、賭博の勝敗を決めるのに必要な試合の「ハンディ表」を提供されていたことが27日、捜査関係者への取材で分かった。

 山本容疑者が「番付も低く金もなかったので、賭博の客になった」と供述したことも新たに判明。組長から「自分で客を集めれば小遣い稼ぎができる」と勧誘されて、胴元側になったという。

 山本容疑者から組長側に金が流れていたことが既に分かっている。警視庁組織犯罪対策3課は、組長が生前、山本容疑者の開帳を手助けして、多くの力士や親方を顧客として獲得させ、収益の一部を上納させていたとみて調べている。

 捜査関係者によると、野球賭博の「ハンディ」は、勝敗予想の面白みを増すために、弱いチームにあらかじめ得点を加算するシステム。

 組長側は、野球に詳しい「ハンディ師」と呼ばれる人物が試合ごとに決めたハンディの一覧表を、携帯電話のメールを使って山本容疑者に送信していた。山本容疑者は試合開始前、メールを客に転送、点差も考慮した予想と賭け金を受け付けていたという。

 一方、山本容疑者の勧めで胴元側に加わった元十両古市貞秀容疑者(34)は、インターネットの野球関連サイトでハンディ表を入手しており、組対3課は山本容疑者とは別のルートで胴元役を務めていたとみている。