大相撲の八百長問題で日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、実態解明の特別調査委員会が関与を認定した23人の力士、親方について、事実上の角界追放を意味する厳罰処分を決めた。2月にメールで発覚して以来、角界の屋台骨を揺さぶり、信頼を大きく失墜させた不祥事は大きな節目を迎え、今後は再発防止策の決定と5月の夏場所開催問題が焦点となる。

 放駒理事長(元大関魁傑)は夏場所の開催については「現時点では申し上げられない」と言葉を濁したが、通常開催は極めて厳しい状況。同理事長はあらためて過去の八百長の存在を否定した。

 処分の内訳は<1>徳瀬川ら幕内6人、十両清瀬海を含む力士19人の引退勧告<2>八百長関与を当初から認めた十両千代白鵬、幕下恵那司の2年間出場停止、竹縄親方(元幕内春日錦)の2年間停職<3>谷川親方(元小結海鵬)の退職勧告-となった。

 引退勧告は八百長の処分規定で、除名に次ぐ重い処分。相撲協会は対象者に、5日までに引退届を出すように求め、応じなければ一般の賞罰規定に基づく解雇など、より厳しい処分を科す方針だ。千代白鵬については引退届を受理。恵那司も引退の意向を示し、関係者によると、竹縄親方は既に退職の意思を固めている。

 弟子が八百長に関与したとして北の湖(元横綱)、九重(元横綱千代の富士)、陸奥(元大関霧島)の3親方が理事を辞任した。この3人を含む17人の師匠を降格処分とした。相撲協会の責任として放駒理事長(元大関魁傑)が2カ月で30%のほか、理事ら幹部の報酬の一部自主返納も決めた。

 特別調査委によると、幕内蒼国来と十両星風の2人にも関与の疑いがあり、継続調査を行う。携帯電話のメール解析を待ち、今月半ばをめどに最終的な結論を出す予定。

 この日は早朝から特別調査委が処分案をまとめ、臨時理事会で検討。処分対象者に弁明させた上で処分を通告した。千代白鵬と仲介役の恵那司はともに「本当に申し訳ありません」と謝罪した。そのほかの力士らは八百長関与をあらためて否定し、谷川親方は法的手段に訴える可能性を示唆した。