<大相撲九州場所>◇千秋楽◇24日◇福岡国際センター

 大関稀勢の里(27=鳴戸)が、来年初場所を「綱とり場所」にしてみせた。立ち合いで大関鶴竜(28=井筒)に右上手を許したが「ああなったら、我慢しようと思った」。

 辛抱強く勝機を待ち、上手を切ると一気に前に出て、盤石の寄り切り。名古屋場所では両横綱を破りながら千秋楽で琴奨菊に敗れたが、その失敗は繰り返さなかった。「良かったと思います。来年につながる白星だと思います」と静かにうなずいた。

 大きな白星だった。日馬富士、白鵬の両横綱に土をつけての13勝に、北の湖理事長(元横綱)はあらためて、来年初場所での綱とりを明言した。その上で課した条件は「13勝以上の優勝」。これを伝え聞いた大関は「一生懸命やりたいと思います」。

 初めての綱とりだった名古屋場所は、前半に3敗を喫した。来年初場所は、苦い経験を糧とできるか。今年1年を「いい経験をした1年」と振り返った。来年は、実りの年にしたい。