大関日馬富士(25=伊勢ケ浜)が初めて横綱への意欲を口にした。日本相撲協会は29日、大相撲名古屋場所(7月12日初日、愛知県体育館)の新番付を発表した。夏場所で初優勝し、東の正位に座った日馬富士は初の綱とり。「チャンスを楽しんで手にしたい」と力強く宣言した。鶴竜(23=井筒)はモンゴル出身6人目の関脇に昇進。土佐豊(24=時津風)猛虎浪(25=立浪)若荒雄(25=阿武松)が新入幕を果たした。

 「神様」は、すぐそこまで来ている。日馬富士が初めて迎えた綱とり。初優勝した夏場所直後には「100年早い」と控えめだった大関が「チャンスだからね。楽しんで一生懸命頑張って、手にしたい」と力強く言った。

 宿舎には伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の不知火型土俵入りパネルがあった。「(横綱は)神様。すごいな~」と目を輝かせた。その師匠は「何回もチャンスはない」という。親方は大関3場所目で綱とりに失敗し、横綱昇進まで3年かかった。それだけに「体を大きくし、精神面も強くならないと。何かを積み上げないと」と厳しい。

 宿舎の伊奴(いぬ)神社(名古屋市西区)は、安産祈願で有名。「第70代横綱」の誕生を祈り、日馬富士は絵馬に「けがのないように」と書き込んだ。「重圧はない。自分の相撲が取れれば結果は…」。体も星も無傷のまま完走できるか。日馬富士が勝負の15日間に挑む。【近間康隆】