角界にまた激震が走った。26日、大阪・茨木市の東本願寺茨木別院で、大相撲二所ノ関部屋のマネジャー猪口嘉幸さん(51)が、首をつった状態で亡くなっているのが発見された。目立った外傷はなく、茨木署は自殺とみて詳しい動機を調べている。

 同署によると午前10時5分ごろ、境内にある保育所のバス運転手から「男性が首をつっている」と連絡があった。同13分に救急隊が到着した時はすでに心肺停止状態で、死亡を確認。病院には搬送されなかった。猪口さんは境内にあるプレハブ小屋の天井の梁(はり)にロープを掛けて、首をつっていた。遺書などは見つかっていない。

 猪口さんは大相撲春場所(3月14日初日、大阪府立体育会館)に向け、22日に部屋の力士ら6人と大阪入りした。同院は長年、二所ノ関部屋が春場所宿舎として利用しており、プレハブ小屋ではけいこ場の土俵をつくっていた。二所ノ関親(元関脇金剛)は東京にいて、不在だった。部屋付きの湊川親方(元小結大徹)は「事情がわかりませんので」と話し、若い衆も「特に変わった様子はなかったのに…」と戸惑っていた。

 猪口さんは元力士で、元大関若嶋津(現松ケ根親方)や同霧島(現陸奥親方)と同じ75年春場所初土俵。「二丈岳」のしこ名で、最高位は西三段目44枚目だった。93年春場所限りで引退し、部屋のマネジャーに転身。関係者によれば独身で、マジメな性格だが、最近は借金に悩んでいたという。