<大相撲秋場所>◇3日目◇14日◇両国国技館

 横綱白鵬(25=宮城野)が、若の里を寄り切り、昭和以降3人目となる50連勝を達成した。

 達成感がにじみ出ていた。浴衣を着た白鵬は笑顔で両手を挙げていた。左手で「5」、右手は「0」。若の里を盤石の右四つで寄り切り、連勝を大台に乗せた。「一生懸命やって、年365日の生活がかみ合って、運があった。運というのは努力した人間しかついてこない。うれしいですね」。双葉山、千代の富士に続く50連勝達成。昭和以降3人目となる快挙は、実に22年ぶりのことだ。

 「国技」のリーダーとして日本を愛する。そして母国への感謝も忘れない。「日本とモンゴルの懸け橋になりたい」。そんな横綱に場所前の11日、うれしい知らせが届いた。6月に「観光大使」に任命された北海道・滝川で、黄金の稲が約10俵(600キロ)も刈られたのだ。1300平方メートルの田んぼで収穫されたのは「白鵬米」。稲作文化のない母国の子どもたちに「おいしいお米を食べさせたい」という白鵬の願いで、つくられていたものだった。

 白鵬も田植えに参加し「収穫の秋」を楽しみにしていた。滝川市商工観光課の阪本康雅さんは「おいしいお米ができました」と出来栄えに太鼓判を押す。18日には「白鵬米」を持って、同市の応援団が上京予定。このまま勝ち続ければ、当日は千代の富士の「53連勝」を超える日になる。

 放駒理事長(元大関魁傑)も「非の打ちどころがない相撲。強い白鵬の相撲になってきている。どこまで(連勝が)伸びるか楽しみだ」と目を細めた。勝ち続ける要因を聞かれた白鵬は「いろいろ。話せば長くなるなあ」とニヤリ。大台到達も、あくまで通過点。実りの秋へ向けて連勝街道を突き進む。【近間康隆】