大相撲の横綱白鵬(25=宮城野)が、土俵外でも活躍する。霧島山・新燃岳の噴火を受けて29日、観光大使を務める被災地にほど近い鹿児島・霧島市の前田終止(しゅうじ)市長(63)に直接電話し、全面的な協力を約束した。町に元気を与えようと孤軍奮闘中だ。

 忙しい合間を縫って、白鵬は霧島市の前田市長に電話していた。この日は元小結海鵬の断髪式、同じモンゴル出身で同期の猛虎浪の結婚披露宴と、相次いで行事に参加。そんな中で、前田市長に「私にできることがあれば、何でも言ってください」と、心のこもった申し出をしていた。前田市長と親交が厚い、白鵬鹿児島県後援会の峯山伸次郎会長は「市長が非常に感動していた。よほどうれしかったようで興奮気味に私に電話してきた」と明かした。

 白鵬は力士会の会長を務めており、白鵬が呼びかければ応じる力士が出てくる可能性はある。力士会はこれまでにも、04年の新潟県中越地震では被災者へ義援金を送ったり、02年の伊豆諸島地震では募金活動をしたりと、積極的に活動してきた。この日、白鵬は義援金については「まだ何も」と、白紙状態であることを明かしたが、少しでも勇気づけられればと、前田市長に直接電話をしていた。

 霧島市は04年から毎年、11月の九州場所後に訪れている。09年から観光大使を務め、訪れるたびに市民の歓迎を受けるなど、愛着のある町でもある。だからこそ、昨年訪れた際も「恩返ししたい」と話しており、初場所では史上3人目の6連覇を達成。前田市長への「直電」は、自然と出た行動だった。

 「山が連なっていて珍しいよね」と、被災地の地形も勉強し、日々ニュースを気にしている。霧島市の関係者は「こういう状況なので観光客のキャンセルが相次いでいる」と明かす。それだけに使命感の強い白鵬が、観光大使として町の復興にも尽力する。【高田文太】