<神宮大会:東北福祉大3-0佛教大>◇初日◇15日◇大学の部1回戦◇神宮

 神宮の杜(もり)で、成長を証明した。東北福祉大(宮城=北海道・東北5連盟代表)は3-0で佛教大(京都=関西5連盟第2代表)に勝利。2年生左腕の森山一茂(大分・楊志館)が3安打7三振の好投で、全国舞台では初完投初完封勝利を挙げた。食べて食べて大きくなった体で、同大初の頂点をつかみ取る。

 派手なガッツポーズもない。森山は謙虚に会釈しながら、仲間とハイタッチを交わした。「異様な雰囲気に、のまれてしまった。まだまだです」。完封目前の9回、先頭への四球などで1死満塁のピンチを背負った。それでもホームは踏ませない。投じた直球でバットをへし折って遊飛。最後も外角いっぱいに決まる、こん身のストレートで見逃し三振に仕留めた。

 切れ味抜群のスライダーと、ブレーキのかかった90キロ台のカーブを低めに集めた。5回まで許したヒットは、内野安打1本のみ。今春の全日本大学選手権では2勝を挙げたが、さらに大きくなった体で全国では初の完封勝利をつかんだ。公式戦でデビューした昨秋の体重は68キロ。昼2杯、夜4杯の丼飯を毎日たいらげ、今では75キロにまで増えた。「周りに見劣りしない体になってきたと思う」と森山。今秋リーグ戦では、東北大戦と宮城教育大戦(5回参考)でノーヒットノーランを達成するなど、飛躍を果たした。

 父静夫さん(54)が、巨人の長嶋茂雄終身名誉監督の大ファン。森山が、同監督の長男一茂氏がプロデビューした88年に生まれたこともあり「一茂」と命名された。今夏、大分の実家に帰省した時も静夫さんから「大きくなったな。でも、ほかの選手に比べたら、まだまだだな」と言われたという。

 森山は大学日本代表候補にも選ばれた。同学年の早大・斎藤らとともに、28日から3日間は松山での強化合宿に参加する。「全国のレベルを知る、いい機会になると思う。でも、今は1日でも多く4年生と野球がしたいです」。成長が楽しみな20歳の左腕が、まずは日本の頂点を目指す。【由本裕貴】