交流戦でつまずいた阪神は、同一リーグ戦が再開した初戦をとれなかった。青柳が2回に5点を奪われてゲームは崩れた。

権藤 どうして2回の阪神バッテリーは井領に四球だったのだろうか。本塁打を打つようなタイプでないのに警戒する必要はなかった。それを投げる青柳の未熟さだが、わたしに言わせれば、キャッチャーの梅野が青柳にそういう球を投げさせてはいけなかった。

青柳は2回1死から5番高橋に続き、井領にも四球をだした。7番阿部に右前打で満塁のピンチを作ってしまった。

権藤 一、二塁の場面で阿部はゲッツーを避けたいから右狙いできている。阪神バッテリーは1ストライクをとって、さらにコーナーを突こうとする。ボール、ボール…、カウント2-1後の4球目を右前に運ばれた。青柳というピッチャーは、コーナー、低めを狙っても打者はファウルにするが、真ん中あたりでボールが動くからこそゴロで打ち取れるタイプ。梅野は捕手が陥りやすいエアポケットにはまった。うまくリードをしようと、青柳の特長を生かせなかったといえるだろう。

2回1死満塁。ここで8番加藤に先制の2点右二塁打を浴びてしまった。

権藤 中日ベンチは加藤の2球目にスクイズを指示してファウルになったのだが、それだけ打てないと思われている。ここも右に打ってくる加藤に対し、高めに投げておけば仕留められるのに、2-1から“カモ”にされるツーシームを振り遅れながら打たれた。

その後は守りがもたついて一挙5点で劣勢に回った。

権藤 阪神の守りの拙さは今に始まったことではない。ただ競った展開に持ち込めそうだっただけに悔いが残った。【取材・構成=寺尾博和編集委員】