阪神は好投した先発の高橋遥を援護できず、0-0の延長11回2死一、三塁からドリスの暴投でサヨナラ負けした。

3連敗で借金1。野球評論家の権藤博氏(80)がこの一戦を解説した。

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悪夢の交流戦明けになった。下位に沈む中日にまさかの連敗。阪神は延長11回にドリスが暴投を犯し、無残にも敗れ去った。

権藤 ドリスは12回まで突っ込んではいけなかった。せっかくうまくつないできたのに、11回まではほかの人材で乗り切るべきで、切り札のドリス投入は最後まで我慢すべきだった。抑えのピッチャーというのはそういうものだ。

計7人の投手を起用した末の黒星。高橋遥が6回2安打無失点で好投したのは光明だった。6回は1死満塁のピンチに、4番ビシエドを中直、続く高橋を投ゴロに打ち取った。

権藤 高橋遥のビシエドに対する初球、インコースへのストレートは見事だった。ビシエドにはあそこに投げるのが効果的と分かっていても、なかなか投げきれない。それがファウルになって、1ストライク後の2球目はライナーで伸びた当たりだが、野球の神様はその前の1球目を認めたからこそ、打球は正面を突いたといえる。素晴らしい満点の投球だった。

阪神ベンチは6回92球を投げきった左腕の降板を決め、7回から継投に出るのだった。

権藤 阪神ベンチの交代の決断も立派だった。先発ローテーションで確固たるポジションで投げる中日柳とは立場が違う。6回を封じて勝ちパターンにつないだのだから万々歳。確かに勝つことはできなかったが、高橋遥という投手が将来に勝つための肥やしになったと思いたい。

ただチームは恐怖の借金を背負ってしまった。

権藤 阪神としては痛いのは、痛い。だがこれだけの投手力を抱えている。なんとかなるはずだ。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】

中日対阪神 11回裏中日1死一、三塁、平田良介に四球を与え不満そうな表情を見せるラファエル・ドリス(右から2人目)(撮影・上田博志)
中日対阪神 11回裏中日1死一、三塁、平田良介に四球を与え不満そうな表情を見せるラファエル・ドリス(右から2人目)(撮影・上田博志)