4位阪神にとってこの3連戦は、負ければ優勝が現実的に厳しくなる重要な位置付けだった。間に2チームいることを考えれば、3連勝が必須と思っていた。

球宴後の戦績は、前カードまで巨人が3勝6敗、阪神が2勝5敗1分け。ともに調子が上がりきらない中、阪神は粘り強く接戦で巨人に2連勝した。前日までの流れを受け継ぎ、1回に近本の三塁打と糸原の犠飛で先制に成功。この非常にいい流れを岩田が壊した。

1回1死満塁。不振だった巨人岡本に簡単に押し出し四球を与え、ゲレーロには2ストライクと追い込んでからの3球目を満塁本塁打とされた。狙いどおりに投げられたならともかく、インコースの要求に対して大きく外れた逆球だった。その後も暴投が続くなど荒れた。

まだ初回だ。岡本の場面は、たとえ逆転されても、犠飛で1点ならOKくらいの気持ちでいい。1点もやりたくないとコースを狙った結果が1回7失点。新人でもなく、中11日のベテランが「よーいドン」でこの投球はまずい。立ち直れず2回は先頭に四球を出し、3回には2ランを浴びた。

残り48試合で首位巨人と8・5ゲーム差。2位につけているならまだしも、4位からの逆転優勝はもう苦しい。チーム事情を考慮しての続投だったかもしれないが、この試合の大事さを考えれば、3回まで岩田を引っ張ったのは疑問が残る。逆に巨人にとっては、ここから連勝するためのキーポイントになりうる快勝だった。(日刊スポーツ評論家)