惨めな1敗だった。上昇気流に乗りかけていた阪神だけにショックは大きい。

中西 実にもったいない。阪神は先手を取れば、巨人相手に3つともいただける雰囲気に持ち込めた。巨人は激しいオーダーの組み替えなど四苦八苦の状態だったのに、自滅はいただけない。

中11日の先発岩田が1回の1イニングだけで、巨人ゲレーロの満塁本塁打を含む7点を奪われた。3回は大山の失策後、8番炭谷にまで2ランを浴びて早々に沈んだ。

中西 もともと岩田は立ち上がりがうまくない。ゲレーロに打たれたのも捕手の構えとは反対の逆球で、2ストライクから投げるには甘かった。投手によってはブルペンで調子が良くても、ゲームにうまく入っていけないタイプがいる。岩田の悪癖がもろにでた。

16日の中日戦(ナゴヤドーム)以来の先発は3回を8安打9失点。すべての良いムードをぶち壊した。

中西 岩田が中11日の間にどういう調整をしてきたかが疑問だった。わたしが投手コーチだった時は甲子園のブルペンも屋外にあったので、そこで意図的に投球練習をさせるなど工夫をした。登板間隔が空くのだから、ファームで2イニングでも、3イニングでも投げさせながら調整させる手もあったはずだ。

阪神は初戦高橋遥を5回1/3で交代させると、2戦目西も5回で代え、リリーフを注ぎ込んで勝ってきた。中継ぎ陣の疲労を考えると、この日は早々と代えるわけにもいかず、厳しいゲーム展開になってしまった。

中西 これから3カード続けて屋外でのゲームになる。東京ドームではできるだけ先発に長いイニングを投げてほしかった。【取材・構成=寺尾博和編集委員】