阪神は延長12回の末に無得点で中日に引き分けた。8安打しながら3併殺と拙攻が響いた。野球評論家の権藤博氏(80)は、新オーダーにおける助っ人コンビの迫力のない打撃、一貫性のないチーム作りを指摘した。

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今日は両軍ともに勝つチャンスがなかった。青柳はストライクゾーンに目掛けて、投げるだけのタイプ。直球に力があり、スライダーが効いた。満点の投球だった。7勝でカムバックした大野雄も力があって、芸もある。投手の試合だった、ということが言えるが、両チームの打者はそこまで気持ちよく投げさせてはいけない。特に阪神は外国人2人があのバッティングではいけない。ストライクの球を見送り、力勝負を挑まれると内野フライを打ち上げる。かわされると併殺打。助っ人らしい振りがない。あの迫力では投手もいいところに投げるよ。お粗末だ。

今頃、大山を4番から外してどうする? ということだ。巨人とは違い、代わりがいるわけでもない。これだったら、我慢するべきではなかったか。打てなかったら監督の責任ではない。打順を替えて打てなかったら、監督の責任になる。中日も同じことが言える。レギュラーに定着した阿部がこの日はスタメンから外れた。両チームともに、一貫性のない戦いで、チームの勢いをそいでいる。どうやって、チームを作っていくのかが、両チームの命題だ。腹を決めてやらないと。

上位3チームは、抜け出しそうな巨人が広島に敗れ、DeNAも星を落とした。どこも決定的な力があるわけではないが、今後はそう簡単に失速しないだろう。阪神がAクラスに食い下がるには、勝率5割以上にする必要がある。まだ残り34試合ある。負けたら責任を取るのは監督なのだから、一貫性のある戦いをしてほしい。