日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(48)がDeNA打線の“変わり身”に着目した。

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10日の初戦の試合を見て、DeNAが意味のあるアウトに対しての意識が薄いと指摘した。2連敗すれば逆転優勝が絶望的となる2戦目。初回無死二塁で、2番佐野が初球を打ち上げて走者を進められなかった。

ベンチからは従来の2番の役割ではなく、ヒットで走者をかえすことを期待されているのだろう。それでも状況を考えて、表現しなければいけない。引っ張って走者を進めようという意識は確かに感じたが、この時期は結果で示さなければいけない。

この拙攻で厳しい展開になると感じたが、乙坂のプレーが流れを変えた。

3回無死二塁の攻撃。どういう打撃、どういう作戦を初回と同じシチュエーションで取るのか見ていた。仕掛けたのはセーフティーバント。走者を進めつつ、自分も生きようとし、絶妙な一打で一、三塁にチャンスを広げた。乙坂自身の判断だったという。何が結果として必要なのか、強い意識を感じた。

続く佐野の打席からも意識が伝わってきた。乙坂の二盗で無死二、三塁。定位置の相手守備を見れば、引っ張って転がせば1点が入り、かつ三塁とチャンスが続く。その意識を持った打撃で一、二塁間を破る適時打を放ち、4得点のビッグイニングにつなげた。初回のミスから意識を高めたことを感じさせた。

2戦目はただ打ったというわけではなく、各自が役割を自覚していた。これを継続しなければいけない。シーズンを通してずっと続けることは難しいが、終盤は1球たりとも無駄にはできない気持ちでプレーする必要がある。143試合が終わるまで、この意識を持ってプレーすれば1つレベルの上がったチームになる。

DeNA対巨人 3回裏DeNA無死二、三塁、右翼に勝ち越しの適時打を放つ佐野恵。投手桜井(撮影・垰建太)
DeNA対巨人 3回裏DeNA無死二、三塁、右翼に勝ち越しの適時打を放つ佐野恵。投手桜井(撮影・垰建太)