巨人は3連敗で、一気に崖っぷちに追い込まれた。最大の敗因は打てない打線だが、いい投手をどんどんつぎ込んでいける短期決戦は投手戦になりやすい。投手力のいいソフトバンクならなおさら、その傾向が強くなる。勝つためには、失点を最小限に抑える努力をしなければいけないのに、巨人はできていなかった。

ここまでの3戦中2戦で、スタメン捕手に大城を起用した。巨人の捕手陣は小林、炭谷、大城の3人だが、その中で一番スタメン出場が少ないのは大城。当然ながらプロ2年目で経験値も劣っている。確かに3人の中で打力はNO・1。打線不調でスタメン起用したくなるのも分かるが、大一番の短期決戦では、打力を差し引いても荷が重すぎる。

1点をリードした直後の2回。グラシアルに同点ソロを許した。フルカウントから内角を狙ったスライダーが甘くなっての1発だが、首をかしげたくなる状況がそろっていた。初戦では山口が146キロの内角球を2ランされ、2戦目には大竹が142キロのシュートを左前打された。どちらも厳しいコースだったが、グラシアルは内角に強い打者。それなのに大城はストライクゾーンを大きく使えというジェスチャーはしたが、構えた場所は真ん中から少し内角よりに寄っただけ。内角球を使うなら、甘くならないようにバッテリー有利のカウントで使うのがセオリー。それでも使うなら捕手の構えも厳しいコースにしなければいけなかった。

賛否両論あるだろうが、捕手を複数で起用するメリットはある。データが偏りにくくなるし、出場する選手の疲労もたまりにくい。しかし大事なのは、試合に出ていないときに何をするか。私も併用されていたときは、出場しなかった試合後に必ず、ビデオで相手打線を1人でチェックした。グラシアルに打たれたときの捕手は、初戦が小林で、2戦目が大城。初戦をチェックしていれば分かるし、2戦目は自分がマスクをかぶっている。「内角に強いのを知らなかった」ではすまされない状況だった。

23日の先発は菅野。状態が悪く、4戦目の先発にずれたのだろうが、制球力が生命線になるのは間違いない。おそらく小林がスタメン出場するのだろう。大きなカギを握っている。(日刊スポーツ評論家)

巨人対ソフトバンク 試合前練習でキャッチボールする巨人菅野(撮影・山崎安昭)
巨人対ソフトバンク 試合前練習でキャッチボールする巨人菅野(撮影・山崎安昭)