ブルペンでロッテ佐々木朗(右)と話す権藤氏(撮影・滝沢徹郎)
ブルペンでロッテ佐々木朗(右)と話す権藤氏(撮影・滝沢徹郎)

「いい」「悪い」「やっぱりいい!」。ロッテドラフト1位の佐々木朗希投手(18=大船渡)が20日、練習試合サムスン戦が行われた沖縄・恩納村で4度目のブルペン投球を行った。自身は立ち投げの40球に納得も、吉井投手コーチは「今日は悪かったですね」。自己評価とコーチの見立てが、13日の初ブルペン時と逆転した。日刊スポーツ評論家の権藤博氏(81)が「令和の怪物」の現状をクロスチェックした。

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初めてブルペンを見たが「おお、なかなかだね」と思ったよ。理にかなった投げ方をしている。投球動作が始まると、1、2、3という順序の中でドタバタしない。足を上げて、体重を右足に乗せて、肘を上げてからバーンとたたく。そのタイミングがいいから、高校時代からあれだけのスピードが出る。腕力だけでは出せない。足と上体の反動をうまく使い、なおかつ、あの背丈だから腕の遠心力がある。素材の良さと角度があるので、球は素晴らしい。やっぱり、モノはいいということですよ。

吉井コーチには「慌てないほうがいい」と伝えた。今の投球練習でも1イニングぐらいしか投げていない。これから変化球を投げると言っても、角度をちょっと変えれば変化球になるし、挟めばフォークになる。後は今みたいに同じように腕が振れるかどうか。でも、いい振りをしてきたから、あの球を投げられるわけだ。じっくり育てれば、いいピッチャーになる。

佐々木君には「親に感謝しろよ、こんな立派な体は親が作ったんだから。でも、これからは自分で作っていくんだぞ。親にもらった体を大事に作れ」と声をかけた。急にではなく、徐々に鍛えていけばいい。とにかく2、3年、じっくり見るつもりでいれば、出てくるヤツは出てくるよ。今年中に何とかしようと思うから、体を壊してしまう。メジャー経験のある吉井コーチはしっかりしているから、大丈夫だろう。

中5日ぐらい空けて、60~70球投げていけばいい。それでうまくいかないなら、本人の資質。周りはつぶすことあっても、育てることはない。中継ぎで中1日ぐらいで回したら、それは体に負担がかかる。今は言うなれば、準備体操中のようなもの。とやかく言う必要はない。(日刊スポーツ評論家)

ロッテ対サムスン 試合前、ブルペンで投球練習するロッテ佐々木朗(撮影・垰建太)
ロッテ対サムスン 試合前、ブルペンで投球練習するロッテ佐々木朗(撮影・垰建太)