すんなりとは逃げ切れなかった。最終回は抑えの藤川が1点差に追い詰められる薄氷の勝利だった。

大石 ここまでの藤川は明らかに本調子でない。9回に1点を失った大城、亀井の連打は、まんまとストレートを打ち返されたものだったが、本来のストレートではなかったということだろう。チームとして、岩崎、スアレス、藤川が締めくくって勝ったのは意味があったが、今後を考えると抑えはポイントになってくる。

しかし、懸案だった新外国人ボーアに本塁打が出始めたのは、得点力アップを見込めるだけに大きい。

大石 今までは甘い球も打てなかった。打席での傾向を見ているとヤマを張って打つタイプだ。4打席立って、1本ホームランを打ってくれるなら、それでいい。ただ7回の本塁打で2点リードの展開に持ち込めたわけだから、ボーアを下げて守りを固めるべき。ここからチームが浮上するのは1、2番の出塁にかかってくるだろう。

開幕を「2番」で迎えた近本は3戦目から「1番」に固定された。しかし、いまだに打率1割台をさまよっている状況だ。

大石 近本の打撃はストレートに対して、しっかりとタイミングがとれていない。ボーアの前を打つ大山も当たってきた。個人的に3番糸井はもっとも信頼のできる打者と思っているから、その前を打つバッターが塁に出れば打線はつながってくる。これから夏場はどのチームも打力が上がってくるはず。ポジションの兼ね合いはあるが、マルテの体調が良くなってくれば「2番」で起用しても面白いだろう。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】