阪神高橋遥人投手(24)は抜群だった。真っすぐは球威もキレも言うことなし。それが全部低めに集まって、同じゾーンから同じ腕の振りのスライダーが鋭く曲がっていた。巨人打線は真っすぐかスライダーかの見極めができていないスイングだった。4番岡本をはじめ、振れている打線にまともなスイングをさせなかった。11三振を奪って完璧に抑えた投球内容、あっぱれというほかない。

しかも7イニングを投げてくれて、ベンチも大助かりだろう。故障明けの初登板なので5、6回までいってくれればと送り出したと思う。111球の少ない球数が決め手になったのだろうが、9連戦のまっただ中で、中継ぎを1人休ませられたのは大きい。現在の左腕先発は岩貞とガルシアの2人だけ。そのガルシアがなかなか調子が上がらない中、勝ちが計算できる左腕が出てきたことも心強い。

快投をアシストした2軍の首脳陣やスタッフも陰のヒーローだ。肩肘の状態を見ながら綿密な復帰計画を立て、実戦で1回、3回、5回とイニングを伸ばして最高の状態に仕上げて1軍に送り込んだ。藤浪を良い状態にして送り込んだことも含め、表舞台の1軍を支える2軍の大切さを感じた。そして高橋が最高の結果で恩返し。タイガース全体で喜び合える白星になった。(日刊スポーツ評論家)