阪神がDeNAのオープナー継投に敗れ、再び借金3となった。大山の3戦連発などで4得点したが1点届かず。相手がローテの谷間だったとはいえ、阪神にとっては“初体験の作戦”にハマった形だ。日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(66)は「後味の悪い負け」と表現した。

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虎がDeNAが繰り出したオープナーの“わな”にはまった。

梨田 オープナーをされたほうは「絶対勝たなくてはいけない」という心理になりがちで、その点でやりにくさはあるかもしれない。打者も1打席ごとに相手投手が変わるイメージだろうから。しかし、オープナーの武藤が好調だったとか、国吉の球に力があったというより、わたしは阪神のほうが自ら崩れたようにみた。

2回。大山の失策、倉本二塁打で1死二、三塁から大和の中前打で同点。4回は岩貞が先頭倉本に四球を与えたことから逆転を許した。

梨田 せっかく先取点を奪ったのに、エラー、四球が絡んで追いつかれ、ひっくり返された。中井の大山への三ゴロはちょっとハネたが、あれぐらいは処理しないと。それと大和の打球にはもっと近本がチャージしてほしかった。相手にとられなくてもいい点を与えて、こちらが取らなくてはいけない点を取れなかった。それは助っ人の走塁にも表れた。

4点を追う6回、サンズの左前適時打で無死一、二塁になった。続く大山の打球は左越え打で1点は入ったが一、二塁。ボーアの二ゴロ併殺などで2点止まりに終わった。

梨田 大山の当たりで一塁走者サンズは三塁に進まないといけなかった。左翼手佐野の追い方は、頭上を越えるか、ギリギリで捕球するか一瞬の判断だったが、サンズが三塁に走っていれば、一、三塁からボーアが併殺だったとしても、もう1点が入った。9回のボーアの一塁止まりの右越えの打球も二塁にチャレンジしてほしい当たりだった。楽天監督だった当時、ウィーラー(現巨人)にハッスルプレーのかたわら、逆に反省すべきプレーに注意をすることがあった。助っ人だから仕方ないという遠慮はいらないと思っていたからだ。いずれにしても、後味の悪い負けになった。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

DeNA対阪神 ベンチで厳しい表情を見せる阪神矢野監督(撮影・前田充)
DeNA対阪神 ベンチで厳しい表情を見せる阪神矢野監督(撮影・前田充)