<練習試合:巨人1-0中日>◇18日◇沖縄セルラー那覇

元横浜の日本一監督で日刊スポーツ評論家の権藤博氏(82)が、阪神のライバル巨人と中日に“潜入”した。18日の練習試合・巨人-中日(沖縄セルラー那覇)を視察。2メートルと大柄ながら、3拍子そろったドラフト5位の秋広優人内野手(18=二松学舎大付)の素材は、阪神同1位の佐藤輝明内野手(21=近大)と双璧で、エンゼルス大谷級と絶賛した。

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巨人はいい素材がそろってますね。ブルペンでは抑えの中川や戸郷が抜群。菅野も2人を見ながら「いい球投げるでしょ?」と言ってました。中日戦に先発したローテ候補の高橋は、打者がかすりそうもない空振りを取っていた。このチームはレベルが高い。元々守りは良いし、投手陣も菅野を筆頭にコマがそろって良いとなると、優勝争いの本命と言わざるを得ません。

向かっていく阪神は力を100%出して、チャレンジ精神で向かっていったら何とかなる、そう思っていかないと。互角に戦おうなんて思ったらダメ。阪神も含めて他球団は、相手のことを考えるより、自分がベストでいくことを考えて戦った方がいいと感じるほど、巨人の力を感じました。

野手の注目はやはり、話題のルーキーの秋広でしょう。登録は2メートルだけど、聞けばそこから2センチ伸びて、今は2メートル2センチあるらしい。まだ細いけどバッティングの手さばきの速さ、一塁守備のフットワークの良さ、ランニングにもモタモタ感がない。シャープですね。2メートル2センチの動きじゃない。1メートル70~80センチの選手が俊敏に動く感じに見えました。

打撃の特徴は低めをうまくさばけ、凡打の内容もいい。当たりは良くなくても、どんな球にも反応して捉えられる感性を感じました。阪神の佐藤輝は大学出でキャリアもあって別格の即戦力ですが、素材は互角でしょう。将来とんでもない選手になるかもしれない。大谷翔平が高校から投打ですごいと入ってきたけど、負けないスケールの大きさです。これからいろいろあるでしょうが、すごい選手が出てきたと感じました。

菅野の残留は誰が見ても大きい。菅野なしで戦おうと思ってやってきたのが戻ってきた。堅いですもん。間違いなく10勝以上して、負けを半分ぐらいにする投手じゃないですか。10勝すれば5敗で止める。他の投手は10勝すれば7~10敗するけど、そんなに負けない。たくさん貯金を作れる投手は大きい。計算できる。

野手陣も岡本和、坂本、丸らの主力がしっかりしている中、スモーク、テームズという2人の大物外国人も取った。実績通り打てば、ポジション争いは一体どうなるのか。今(コロナ禍で来日して)いないけど、まともに30発も40発も打たれたら巨人がセ・リーグ圧倒でしょう。でもね、分からないですよ。日本の投手レベルが高い。巨人の中でも、いい野手と競争しないといけない。まあ外国人抜きでも、それだけ総合力がすごいということです。