阪神が9回にサヨナラ勝ちしたが、注目のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)は3打数無安打に終わった。1日の広島戦で2号ソロを放った後は、8打席連続ノーヒットで、打率1割3分3厘とバットは湿っている。日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が現状を解説した。

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佐藤輝の状態は、あまり悪くないと見ているが、ひとつだけ気になるのは、「かかと」に重心がある点だ。公式戦に入り、内角を攻められ、遅いボールでタイミングを外されて、空振りしている。引きつけて打つことを意識するために、そうなっている可能性があるが、受け身になってしまっている。

「かかと」に重心があることで、うまく下半身が使えていない。腰が引けているように見える。ボールを待つのはいいが、腰を入れて、フットワークを使う打撃をしたほうがタイミングは合いやすい。ホームランも出やすくなる。彼は反応のいい打者だから、下半身を使って、打つ準備が整えることだけを気にすればいい。上体でタイミングを合わせにいくと、狙ったボールしか打てない。

いい時の佐藤輝は、下半身でタイミングを合わせながら、上体は我慢できていたので、ボールの変化に対して、自由に動ける余裕があった。そこを思い出せばいい。下を動かせているか、いないかをチェックする必要がある。下を使えていない状態でフルスイングしても逆効果になる。

タイミングを合わせるという点で言えば、阪神の各打者は、工夫が足りない。柳はゆったりと投げたり、クイックを使ったり、テンポを変えながら投げていた。また球種でも直球にカットボール、カーブなど緩急を使っていた。そういう投手にどうやってタイミングを合わせるか。手元で変化する投手なら、投手寄りに立って、曲がり幅の小さいところでとらえる。外角が多ければ、投手側に立つ。足を上げていたのをすり足にするなど練習の時からイメージしておく必要がある。

打とうとする気持ちは分かるが、同じようなタイミングのとり方、打席での立ち方をしていては対応できない。この試合の一番の課題はそこにあった。(日刊スポーツ評論家)