巨人と阪神の「伝統の一戦」第2ラウンドは、巨人が4番岡本和真内野手の2本塁打などで逆転勝ちした。日刊スポーツ評論家の和田一浩氏がチェックした。

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3連戦の初戦を落として負けられない巨人は、4番・岡本和の2発で勝利。長いペナントレースとはいえ、8連勝中の阪神の勢いを止めなければいけない重要な試合だった。ここまで眠っていた主砲が意地を見せた。

岡本和の不振は、明らかな原因があった。左足を踏み出していく時にグリップの位置を動かして「割り」を作るのだが、調子が悪くなる時はいつも背中側にグリップを動かしていく傾向が強い。こうなると、打ちにいくときに右肘が体の前に入りづらくなり、バットが内側から出てこなくなる。だから逆方向に打つときはいいのだが、内角球に対してはこねるようなスイング軌道になって打球が上がらない。しかし、今試合のスイングは修正できていた。

第1打席と第2打席のホームランは、ともに内角低めのツーシームだった。2本ともゴルフスイングのようにすくい上げた1発だが、これまでの岡本和であれば、ジャストミートしても三塁側へのファウルになっていただろう。構える時に、やや体からグリップを離しめにして背中側に入り過ぎないようにしていた。こうなると体とグリップの位置に右肘を入れていけるスペースができる。これができれば、内角球でもバットを内側から出せるようになり、フェアゾーン内に打球を上げていけるスイングができるようになる。

完全復調といいたいところだが、追加点がほしい7回裏1死一、二塁のチャンスでは、再び背中側に入り過ぎていた。やはりまだ、走者のいるチャンスの場面では力みが生じ、悪い癖が出るのだろう。外角148キロの真っすぐに対し、少し泳ぐようになって引っ掛け気味なスイングになっていた。これまでのスイングよりはマシだが「これで大丈夫」と言い切れるまではいかないが、復調の兆しは感じられた。

好調・阪神への反撃は、岡本和の復調は絶対条件。それに加え、走塁や守備などで記録に残らないようなミスを減らす必要がある。3回表、先頭打者の糸原の右翼線への打球に梶谷がダイビングキャッチを試みて三塁打に。これが2アウトならいいが、ノーアウトで外野手が飛び込むのはセオリーではない。8回裏1死一塁からは、一塁走者の重信が一、二塁間を抜けた打球なのに二塁でストップしてしまった。梶谷のプレーは失点につながらなかったし、重信の走塁ミスで得点を奪えなかった嫌な流れも、新守護神のビエイラがピシャリと抑えて締めくくった。思うように勝っていないせいもあるのだろうが、今季の巨人はこの手の記録に残らないミスが多いような気がする。主砲の復活と緻密な野球の実践が、阪神を逆転するためのカギになるだろう。(日刊スポーツ評論家)