楽天早川隆久投手(22)とDeNA今永昇太投手(27)、両左腕の投げ合いは、ともに1失点で勝敗つかず。日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(50)が両者の投球を解説した。

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DeNA今永と楽天早川はともに五輪代表の左腕候補の投げ合いだった。復帰2戦目の今永は、前回登板からの修正が見られた。肘が下がり、体が横振りになっていたのが、楽天戦は肘が上がって、上から投げ下ろす本来のフォームに戻っていた。

初回2死一塁では4番島内に対し、初球から3球連続で内角を突き、しっかりと意識を植え付けた。この投球が効き、その後は3打席目まで全球を外角に集めた。内角攻めは「内角に来るかもしれない」と思わせることも含まれる。島内の頭にあったからこそ、外角が続いても踏み込ませずに凡退させることができた。 早川も甲乙つけがたい内容で今永とタイプも似ている。ただ対左打者という課題がある。対右の打率2割2分1厘に対し、対左は3割3厘。内角のストライクゾーンに直球を投げることができるが、懐を突いて動かすような球種がない。今永も対右の2割3分1厘より対左が2割4分4厘と分が悪いが、チェンジアップで左打者の内角に食い込ませることができる分、数字がいい。

力量的には五分五分で、代表での役割も今の陣容なら先発というより、第2先発や中継ぎとなるだろう。経験値で勝る今永を選ぶか、将来性のある早川を選ぶか。首脳陣をいい意味で悩ますだろう。(日刊スポーツ評論家)

楽天対DeNA 力投するDeNA先発の今永(撮影・河野匠)
楽天対DeNA 力投するDeNA先発の今永(撮影・河野匠)