昨季パ・リーグで6位に終わった西武、セ・リーグで5位の広島の課題は明確だ。西武は先発陣の整備、広島は長距離砲の存在が今季のカギを握る。

西武先発の渡辺は昨季も9試合に先発し、4勝しているが、ローテに定着できる力がある。広島戦を見てもゲームをつくれる力がある。全部の球種で一定のストライクを取ることができて、微妙に打者のタイミングをずらすこともできている。2回の小園、5回の野間に対し、ファーストストライクを打ちに来たところを沈む球で内野ゴロに仕留めた。早い仕掛けが多い、パの打者にはとても効果的だ。

3回に制球が乱れて2四球で2失点した。直球がシュート回転気味になるのは、反省点としては残るが、四球で崩れるようなタイプには見えない。力感を求めず、バランス重視で投げている。昨季の先発ローテの軸だった高橋、松本、今井に、ルーキーの隅田が加わる中で、渡辺はエース級ではないが4、5番手としてチームには貴重だ。

広島は鈴木の穴を埋めるべく、ルーキーの末包をオープン戦で4番に固定している。初戦の2月26日の巨人戦で難しい内角球を特大の一発とし、派手なデビューを飾った。ただキャンプからの疲労もたまる時期。打席も重ねるとスコアラーの研究が進み、攻め方がハッキリしてくる。まだまだ穴が多い印象だ。力のある内角球に詰まり、内角攻めへの意識が強くなりだすと、逆に1打席目の右飛のように外角球に腰の開きが早くなる。

打線は質のいい左打者が多く、つながりだすと、足もあり、嫌な打線ではある。一方で鈴木のメジャー挑戦で長打力のある右打者が不在となった。新外国人のマクブルームがコロナ禍で来日が遅れ、チームバランス的にも末包を戦力として組み入れたいところ。両チームのポイントが浮き彫りにもなったオープン戦だった。(日刊スポーツ評論家)

3回裏広島1死満塁、ドラフト6位の末包は先制内野エラーで出塁(撮影・加藤孝規)
3回裏広島1死満塁、ドラフト6位の末包は先制内野エラーで出塁(撮影・加藤孝規)