来日初登板、初先発のウィルカーソンの投球は、チェンジアップに特徴があった。ストレートとチェンジアップの軌道が分かりづらい。巨人はそれでウィルカーソンをつかみ切れず、打ちあぐんだ。

本来のチェンジアップは球速120キロ台で沈んでくる。それがウィルカーソンのチェンジアップは135キロを計測したように真っすぐと同じ軌道でくる。だからストレートを狙って打ちにいくと沈み、チェンジアップと思って踏み込むと差し込まれた。

6回を投げて計18アウトのうち、10個のアウトが外野フライだったのは、巨人打線がこの2つの球種の球筋に戸惑ったからだろう。いい角度で上がった外野フライもあったから、紙一重だったと言えなくもなかった。

確かに持ち球のカーブ、スライダーを交えながらの好投ではあった。しかし打者からすると怖さは感じていないだろうし、ストレートとチェンジアップの投げ分けに慣れてこられたときに、どう対処するか。そこが今後も勝っていけるかどうかのカギを握っている。

8回湯浅、9回岩崎のリレーだが、外国人選手はアテにできないし、現状はこの勝ちパターンで逃げ切るしかない。ただ湯浅が岡本和を中飛に打ちとったフォークはもっと低めに投じるべきで、今後に向けての反省材料にしてほしい。

チームとしては得点力を上げないと厳しい戦いを強いられる。その意味でも6回1死三塁からロハスが四球を選んだ場面は、代走を起用して積極的に攻め立てるべきだった。ここから1つ1つ勝って、取り返していくしかない。(日刊スポーツ評論家)