8回裏2死一、二塁の好機で日本ハム今川は楽天田中将相手に三振に倒れた。期待値の高い選手だけにこの場面について触れてみたい。フォークで最初の2球を振らされた（空振り、ファウル）のはしょうがない。カウント0－2と追い込まれたが3、4球目のボール球を冷静に見逃した。昨季までだったら簡単に振っていたボールだ。5球目の完璧なフォークも見逃しカウント3－2。ここで田中将、炭谷の楽天バッテリーは次のボールは確実に振ってくると思っただろう。

打者心理で言うとカウント2－2は無心でボール球を何とか見逃したり、ストライクをファウルにするなど食らいつく。一方、3－2になるとボール球を見逃せば四球で出塁できるかもしれないなど、雑念が入る。ここで楽天バッテリーが選択したのは、見逃せばボールの低めのスライダー。浮いたらバットに当てることはできたが、膝下にしっかり投げきられ、今川のバットは空を切った。

レギュラーを取れば、こういうしびれるようなやりとりが、局面である。見逃せば四球なのだが、簡単に見逃させてくれないのが一流の投手。レギュラーを獲得するためには、この低めのボールになる変化球を見逃せるかどうか。打ちにいくのだが、見逃せる。そういう打撃ができれば、新庄監督も外せない選手となるだろう。（日刊スポーツ評論家）