初先発だった日本ハム鈴木健矢投手(24)の好投をたたえたい。長打を浴びながら西武打線を7回途中2失点に抑えたが、相手にフルスイングをさせなかった。打者はタイミングがすべてと言うほど、タイミングが取れているとフルスイングにつながるが、まったく相手にタイミングを取らせなかった。

タイミングを外した要因として、サイドスローやアンダースローで投げたり、クイックで投げたり、長く持って投げたり、1つの球種でもスローカーブ、カーブを投げ分け、奥行き、高低、左右の揺さぶり、投球フォームの緩急、アームアングル、これらすべてを駆使して相手打線を抑えていた。

BIGBOSSの提案で投手陣全体が投球フォームで打者のタイミングを外すことに取り組んでいるが、各投手に結びついている感じがあり、鈴木もしっかりファームから取り組んできたものが出せていた。

昨日(10日)の延長12回で、この日は緊急性のある長いイニングだったと思うが、あれだけタイミングを外せる投球術が身に着きつつあれば、あの投球術はむしろリリーフより先発の方が生きてくる。現在のブルペンにはロングリリーフが不在。ロングがいないと救援投手を分散して使うことになり、連投につながってしまう。ロングリリーバーとして待機して、スポットで先発できれば、すごく助かる存在になる。BIGBOSSがどのように配置するか気になるところだ。

守備で気になった点は4回1死一、二塁、オグレディの遊ゴロで上川畑が併殺を取り切れなかったシーンだ。結果ゼロに抑えたから事なきを得たが、併殺は流れを変える大きな武器。0-1ビハインドの場面で、併殺を取れば攻撃にすごくリズムが出てくるところだったが、ルーティンゴロを上川畑が少し下がって処理した分、一塁がセーフになった。土のグラウンドではなく人工芝なので、彼の守備力をもってすれば、多少のバウンドの悪さでも処理できるはず。守備力のある選手だからこそ望むプレーだが、思い切って前に出て併殺につなげてほしかった。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対西武 鈴木(左手前)を出迎える新庄監督(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対西武 鈴木(左手前)を出迎える新庄監督(撮影・佐藤翔太)