パ・リーグはどのチームも残りはおよそ20試合となった。楽天まで含めた上位4チームに優勝の可能性があるだろう。こうなると1戦1戦が落とせない正念場となるが、どのチームも決め手を欠き、まだ混戦は続きそうだ。

その中で、この日の西武には、継投でおやっという場面があった。4回に1点を返した直後の5回。2死二塁からロッテ安田の適時二塁打で5点目が入った。2番手宮川はそのまま続投。松川に四球を与え、2死一、二塁として茶谷に中前打を浴びたが、中堅鈴木の好返球で安田をホームで刺し、6点目は防いだ。

失点を防いだから良かったではなく、安田に打たれたところで、投手をつぎ込む場面に感じた。先述したように、ここからはすべて勝つしかない戦い。それをファンも期待して球場に来てくれている。投手をどんどんつぎ込み、追加点を与えないという姿勢を示す局面だった。

安田には丁寧に際どいところを攻め、最悪歩かせて松川と勝負、という考え方もできた。つまり、ここが試合の分かれ目だったと映る。勝ちに行く姿勢を、投手交代にしっかり打ち出すべきだった。

迷わず投手を使い、絶対にあきらめない姿を見せていかなければ、こうしたギリギリのペナントレースは勝ち抜けない。一瞬でも隙を見せてしまうと、そのほころびが大きな傷口になりかねない。

西武には優勝のチャンスがある。打てる手はすべて尽くし、最後まで追い上げる試合運びを見せてもらいたい。これから3点や4点ビハインドで終盤に逆転を目指す試合も必ずある。

西武は攻撃力でチームを引っ張るイメージが強いが、投手力をフルに稼働させ、ここからゲームをひっくり返すんだというメッセージを、味方にもファンにも明確に打ち出す重要性を感じた試合だった。(日刊スポーツ評論家)