セ・リーグのCSファイナル初戦は王者ヤクルトが先勝し、アドバンテージも含めて2勝0敗とした。3位からファーストステージを突破した勢いを持続したかった阪神にとっては痛恨の1敗。日刊スポーツ評論家の和田一浩氏(50)は、両チームの大一番での差を指摘した。
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1勝のアドバンテージがあるヤクルトに阪神が勝つためには、初戦での勝利が重要になると思っていた。特に先発する西勇輝は今シーズンのヤクルト戦で3試合21イニングを投げて3失点。勝敗は1勝1敗だが、防御率0・86。CSファーストステージでDeNAを破った勢いもあり、なんとしても勝ちたい試合だった。
「勝ちたい」や「勝たなければいけない」という気持ちが強すぎると、思うように体が動かなくなる。初回1死一塁、近本は高めに浮いた真っすぐを打ってセカンドゴロゲッツーになったが、紙一重の当たりだった。ヤクルトの先発・小川の立ち上がりはそれほどよく思えなかった。打った近本も「しめた!」と思ったはず。普段の試合ならしっかりと捉えて右中間への二塁打ぐらいにはしたはずだが、気持ちがはやった分、バットのヘッドの返りが早く、ゴロになってしまった。
先発した西勇も、慎重になりすぎた。2アウトをとった後、山田への初球は真っすぐがボールになったが、チェンジアップを2球続けてカウント1-2と追い込んだ。ここから勝負を焦ったのかチェンジアップを続けてボール。際どいコースを狙った内角のシュートもボール。最後は外角のスライダーを見逃されて四球。これでリズムを崩した。
捕手の坂本も裏をかこうとするリードが裏目になった。村上には裏をかこうとしすぎたのか、カーブを2球続けてボール。結局、連続四球を与えた。そして外角球に対して反応していなかったオスナには、カウント2-1から内角にシュートを要求。甘いコースではなかったが狙い打ちされて3ランになった。
初回の攻防だけで、試合の流れが劣勢になりやすい併殺、四球、四球、本塁打で2死からの3失点。始まったばかりとはいえ、痛すぎる失点でヤクルトを楽にしてしまった。2回無死二塁、フルカウントから原口がハーフスイングを空振りに取られて三振したが、あれは完全なミスジャッジ。バットは止まっていたし、ついてない面もあった。
ただ、ヤクルトの打者は状況に応じたバッティングを的確にこなす技術があった。3回無死二塁、カウント2-2から内角低めのシュートに対し、中村はバットのヘッドを返さずに狙い通りのセカンドゴロで進塁打。続くサンタナも真ん中のシュートを追っ付け気味にスイング。バットを内側から出し、犠牲フライになりやすい打ち方で追加点を奪った。
しびれる大一番でどういう野球ができるかが、本当の「強さ」だと思う。連覇したヤクルトと、戦力がありながら3位に終わった阪神の差がもろに出た試合だった。(日刊スポーツ評論家)




