プロ3年目を迎える佐藤輝明の打撃に注目しました。岡田監督が「ポイントをもう少し前に」と話したということですが、確かに打撃投手を相手に差し込まれる場面もありました。

とはいえ「ポイント」は打者にとって永遠のテーマ。ポイントを前にするというのは、表現を変えれば前足に体重を乗せていくことでしょう。前に行きすぎてもダメですし、残りすぎてもいけない。佐藤輝の場合は後ろに残るケースが目立つので、そういう話になったのかもしれません。

表現を変えれば、いわゆる「泳ぐ」のを嫌がるか差し込まれるのを気にするかということでもあります。いずれにしても大事なのは自分にとって最適なポイントを見つけ、そこで打つ回数を増やすことです。

ポイントを前にすれば、やはり変化球を空振りすることは増えます。過去のシーズンを見れば落ちるボールにクルッと回って三振するのがこわくなってきたと思うし、徐々に引きつけて打つようになってきたのかもしれません。

しかし重要なのは「真っすぐに弱いと思われてはダメ」ということです。特に若い選手はそう。ベテランになれば変化球を引きつけることはできていくはず。相手バッテリーにすれば、佐藤輝に左翼側への長打を浴びても「たまたま」とあきらめがつくもの。右中間に1発を食らうとメンタルまでやられるのです。

最適なポイントで打つために大事なのは、最短距離でバットを出すことでしょう。そのため現役時代にやったのは「左」を打つことでした。打撃練習でも一般的に右投手が投げている設定のカーブ・マシンを左に変えてもらうようにお願いしたものです。

左打者が右投手相手だと体が開いたり、見切りが速かったりしてもなんとなく当たるもの。左対左だとそうはいきません。しっかりポイントをつくるために、打撃投手でもマシンでも「左」を打つことに効果があると思います。(日刊スポーツ評論家)

個別練習で打ち込む阪神佐藤輝明(撮影・前田充)
個別練習で打ち込む阪神佐藤輝明(撮影・前田充)