<西武2-3オリックス>◇31日◇ベルーナドーム

オリックスは新星、山下舜平大の初登板開幕投手という大役を、捕手森が見事なリードでアシストした。光った場面は3回1死一塁、ペイトンの打席だった。カウント0-2から山下は2球続けてフォークが暴投となる。最初のフォークは頭上を越え、2球目はかなり手前でワンバウンド。同じ捕手として、あれは止められない暴投と言えた。

これで次のボールが焦点になるが、森はカーブを選択する。山下は真っすぐが魅力で、本人も自信がある。2球続けてフォークが暴投となり、捕手からしてもストレートを選択しがちな状況だった。ペイトンからしても、真っすぐに合わせて1、2の3で振ってくる確率が高まっていた。

森は同じ変化球でもカーブを選択。自分のブロッキングの信頼性を山下に示すかのような配球に感じた。山下もこの意図を理解し、森を信頼してカーブをしっかり制球した。ペイトンは体勢を崩した空振り三振。

山下は5回1/3を4安打7三振での1失点で大役を見事に果たした。もちろん、山下の堂々のピッチングも見事だったが、森が随所で見せた自信に満ちたリードも大きかった。

一方、西武からすれば、森が抜けた穴をどう埋めるか、このテーマをいきなり開幕戦で突きつけられた。3年連続開幕投手の高橋は安定の内容で8回を6安打7三振での1失点。先発マスクの柘植も内角真っすぐと、縦のフォークを有効に使った配球を見せたが、最後に課題が如実に出た。

1点リードの9回2死走者なし、ルーキー青山とのバッテリーで、森に初球をフルスイングで引っ張られての同点ソロ。ここは1発だけは避ける場面。もっとジェスチャーをしながら青山に注意を促す配慮が必要だった。さらに10回はティノコがやはり初球を宗に勝ち越しのホームランにされた。

柘植には忘れられない開幕戦となっただろう。また6回2死一、二塁、8回2死一、三塁で、柘植はいずれも凡退している。バッティング面でも森との差を痛感せざるをえない結果と言えた。

終盤2イニング続けて初球の被弾は、やってはいけないバッテリーミスだ。柘植には試合を締めることの大切さをここから学んでほしい。そして乗り越えてもらいたい。

西武は森が抜けた穴を、守備面でも攻撃面でも埋められなかった開幕試合となった。かたやオリックスは、その森が同点ソロを放つなど、攻守で逆転勝利に大きく貢献した。この勝ち方を見て、オリックスは吉田(レッドソックス)の抜けた穴を、森が埋める期待感が増したように感じた。

まだ開幕戦が終わったばかりだが、3連覇を目指すオリックスと、上位進出をうかがう西武が、抜けた穴、埋めた穴という「穴」をテーマにした戦いの中で、くっきりと明暗を分けた試合結果となった。(日刊スポーツ評論家)

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西武対オリックス 9回表オリックス2死、右中間同点ソロ本塁打を放つ森。投手青山(撮影・たえ見朱実)
西武対オリックス 9回表オリックス2死、右中間同点ソロ本塁打を放つ森。投手青山(撮影・たえ見朱実)
西武対オリックス 9回表オリックス2死、森に同点ソロ本塁打を浴びる青山(撮影・たえ見朱実)
西武対オリックス 9回表オリックス2死、森に同点ソロ本塁打を浴びる青山(撮影・たえ見朱実)
西武対オリックス 9回表オリックス2死、森(中央)は右越えに同点ソロ本塁打を放ちベンチのナインの祝福を受ける(撮影・小沢裕)
西武対オリックス 9回表オリックス2死、森(中央)は右越えに同点ソロ本塁打を放ちベンチのナインの祝福を受ける(撮影・小沢裕)
試合前の練習でオリックス森(左)は、(右へ)西武松井監督、平石洋介ヘッドコーチにあいさつする(撮影・小沢裕)
試合前の練習でオリックス森(左)は、(右へ)西武松井監督、平石洋介ヘッドコーチにあいさつする(撮影・小沢裕)