阪神はサヨナラ勝ちで薄氷の勝利をもぎ取り、連敗を2で止めた。9回表に3点リードを追いつかれながら、同点で迎えた延長11回裏1死満塁、途中出場していた小幡竜平内野手(22)が二遊間を破るサヨナラ打を決めた。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(39)はサヨナラ打をお膳立てした代打梅野隆太郎捕手(31)の反発力に着目。2球連続の犠打失敗から中前打で好機を拡大した姿勢を高評価した。【聞き手=佐井陽介】

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最後は梅野選手の執念、反発力がサヨナラ勝利を呼び込んだような気がします。延長11回裏無死一塁で代打登場。犠打を決めるために立った打席で、2球連続でバントに失敗。それでも1ボール2ストライクから外角低めのカットボールにバスターで体ごと食らいつき、中前打で一、三塁に好機を広げました。

梅野選手はチームでもトップクラスにバントがうまいプレーヤーです。そんな選手でも2球連続で失敗してしまうほど緊迫した展開だった、ということです。ロッテ、阪神とも終盤にミスが相次いだ試合でもあり、負の連鎖にも近い重圧が背中に相当のしかかっていたのでしょう。それでもなんとか気落ちせずにミスを挽回した姿勢に、大きな価値を感じました。

この日は沢村投手のボークから崩れたロッテと同様に、9回の阪神にもミスが相次ぎました。3点リードの9回表は先頭打者の遊ゴロを木浪選手がファンブルしたところから3失点。失点にはつながらなかったとはいえ、二塁中野選手も失策を犯しました。同点で迎えた9回裏無死一塁では代走出場の植田選手がまさかのけん制アウト。珍しく相次いだミスをチーム全体でカバーできたのですから、非常に大きな1勝ではないでしょうか。

ちなみに木浪選手は失策直後の9回裏、先頭で中前打を放ちました。中野選手は11回表に一、二塁間への難しいゴロをきっちりさばきました。4打席目まで3三振1併殺打でノーヒットだった5番佐藤輝選手も11回裏無死、右前打でサヨナラ劇の口火を切っています。勝ってミスを反省できるのは何より幸せなこと。阪神ナインにはこのまま、ミスや失敗の後でも積極的であり続ける姿勢を貫いてほしいものです。(日刊スポーツ評論家)

11回裏阪神無死一塁、梅野は中前打を放つ(撮影・上田博志)
11回裏阪神無死一塁、梅野は中前打を放つ(撮影・上田博志)
11回裏阪神無死一塁、代打梅野は中前打を放つ。投手は広畑(撮影・加藤哉)
11回裏阪神無死一塁、代打梅野は中前打を放つ。投手は広畑(撮影・加藤哉)
阪神対ロッテ 11回裏阪神無死一塁、バスターエンドランを決める梅野(撮影・和賀正仁)
阪神対ロッテ 11回裏阪神無死一塁、バスターエンドランを決める梅野(撮影・和賀正仁)