阪神が今季9度目の完封負けを喫し、2位DeNAに1・5ゲーム差とされた。攻撃面では3点を追う7回表2死一塁、代打渡辺諒内野手(28)が左翼二塁打を放ったが、一塁走者のシェルドン・ノイジー外野手(28)が滑り込まずに本塁憤死。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(42)は勝敗を決定づけた走塁について「『滑り込まなかった』のではなく『滑り込めなかった』のではないか」と分析した。【聞き手=佐井陽介】

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阪神は3点を追う7回表2死一塁、走者ノイジー選手の本塁憤死が痛恨でした。まだ先発の村上投手が7回裏も続投するにもかかわらず、先発マスクの7番坂本選手に代打渡辺諒選手を送ってまで流れを変えにいった場面。ベンチが勝負手を打った中、左翼線二塁打で本塁タッチアウトになったわけですが、個人的には三塁コーチャー、走者のどちらの気持ちも理解できなくはありません。

まずは三塁コーチャーの視点で考えます。ベンチが勝負を懸けた場面だったから余計に、一気に2点差に迫って流れを変えたかったはずです。フェンス際のクッションボールの処理も確認した上で、よほど完璧なカットプレーでない限りは本塁に生還させられると踏んだのでしょう。ベンチからすれば「まだ3点差なのだから無理せず2死二、三塁で良かったのに」となるかもしれませんが、少しでもカットプレーにスキがあればホームインできていたのもまた事実でした。

一方、際どいタイミングでスタンディングのままタッチされたノイジー選手にしても、「滑り込まなかった」のではなく「滑り込めなかった」のではないでしょうか。ノイジー選手は守備も走塁もおそろかにしないプレーヤー。おそらく本塁送球がそれた逆側に滑り込むか、構えた方向に走って送球に当たる可能性も考えて、坂倉捕手の動きをギリギリまでチェックしていたはずです。それが結果的に完璧な返球が届いてしまい、スライディングするタイミングを逸してしまったのだと想像します。

次打者の木浪選手は「そのまま真っすぐスライディング」とジェスチャーしていたように見えましたが、ノイジー選手はまさかあそこまで文句なしの送球が来るとは予想できなかったのでしょう。この日の勝敗を決定づけたビッグプレー。広島守備陣、特にカットマンの小園選手の送球が阪神側の想定を大きく上回った、という表現が1番しっくりくるかもしれません。攻守でプラス要素が目立ったカープ。再び勢いづきそうな予感がします。(日刊スポーツ評論家)