開幕当初に好調だったDeNAが、夏場以降に失速。CS出場こそ濃厚だが、2位浮上に向けて負けられないヤクルト戦に完敗した。1番の敗因は2番手に投げた浜口の乱調だが、6月26日に首位だったチームがなぜ勝てなくなったのかが、よく分かる試合だった。

チームの成績と同じように精彩を欠いていたのが、今試合で「2番・センター」でスタメン出場した関根だろう。初回1死三塁、山田のセンター前への飛球に対し、関根はダイビングキャッチにいったが、ワンバウンドした打球を後逸。先制点となり、打者走者の山田のタイムリーは二塁打になった。

まず最初に、このプレーを詳しく解説したい。打球はそれほど高いフライでもなく、ライナーでもない。確かに飛んだ場所は微妙だが、打球判断しやすいフライだった。とてもダイレクトでは捕れないし、ダイビングキャッチする必要もない。本来なら後ろにそらさないようにワンバン捕球できるように処理する打球だった。

おそらく、関根もダイビングする前に「捕れない」とイメージできたのではないか。しかし突っ込んできたタイミングだと、急ブレーキをかけてワンバンでキャッチするのは難しい。だからダイレクトキャッチを狙ってそのままダイビングしたのだと思う。

状況判断ができていない。この場面、内野は定位置で「1点は与えていい」というシフト。それならば外野手も捕れない可能性がある打球には飛び込んではいけない。仮に突っ込んでワンバン捕球が難しいタイミングになっても、前に落とすだけならできるはず。ワンバン捕球が難しいタイミングになったので、いちかばちかダイビングしたように見えた。

これではレギュラーの外野手として心もとない。開幕してしばらく、打撃好調だった関根だが、打てなくなった夏場以降からスタメンを外れる試合も多くなった。しかし、センターの守備をしっかりこなせる守備力があれば、少しぐらい打てなくなっても起用されたはず。ちょっと打てなくても使ってくれるという自信がつけば、打てない期間も短くできる。

関根がスタメン出場を続けられる選手になれば、チームのプラス面は大きい。チームの盗塁数は31個でリーグ最下位。走れる選手は関根、桑原、林ぐらい。この3人で盗塁数を比べても関根は10盗塁で失敗3。桑原は3盗塁で失敗8だし、林も6盗塁で失敗は3。成功率を比べても関根の成績はチームトップ。チームの失速もここまでではなかったと思う。

この回に失ったのは1点だけで、二塁打を放った山田はホームに返っていない。別に関根のプレーが原因で失点した訳でもないし、敗因になったわけでもない。しかし、関根がレギュラーになりきれない原因が、このプレーに詰まっている。何も難しいことを言っているわけでない。状況を理解してプレーするだけでも、違ってくる。(日刊スポーツ評論家)