中日は今季、56勝82敗5分けで終了した。球団初の2年連続最下位という厳しい結果を踏まえて立浪和義監督(54)は3年契約3年目のシーズンに挑む。球団OBで98年横浜日本一監督の日刊スポーツ評論家・権藤博氏(84)はチーム再建へ課題は山積しているとした上で「投手陣の査定を注視したい」とした。

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中日は球団史上初の2年連続最下位に終わりました。監督交代も選択肢としてあったはずですが、球団は来季も立浪監督に託しました。ただ、今季の戦い方を見る限り、チームの目指すべき方向性がはっきり見えてきません。現場だけで解決すべき課題と、現場だけでは解決できない問題の両面が山積しており、再建は容易ではないでしょう。

多くの課題がある中で、私はまず投手陣の査定に注目したいと考えました。先発の柱である柳が後半10試合で防御率1・44と好投を続けながら、その間の援護点は全試合1点以下の計4点。通算でも158回1/3を投げて、防御率2・44とローテーションを守りながら、個人成績は4勝11敗に終わりました。得点力不足がチーム成績だけでなく、投手成績にも大きな影響を与えた象徴的な事例となりました。

柳以外の先発投手も同様です。勝ち頭は小笠原と高橋宏の7勝で、涌井も含めて4人の2ケタ敗戦投手が誕生しました。野球は投手と野手がカバーし合うことで成り立ちます。勝敗の結果責任は指揮官が負うべきもので、野手を責めるつもりは毛頭ありません。ですが、チーム防御率3・08は優勝した阪神に次ぐリーグ2位でありながら、390得点、71本塁打、打率2割3分4厘はいずれもリーグ最低。投打のバランスは悪化しました。

球界では勝利数が先発投手の査定上、大きなウエートを占めてきました。ただ、年々、投手の役割は細分化され、先発投手が1人で投げきる時代ではなくなりつつあります。1勝の意味合いも変化している中で、今も昔も投手には勝敗が記録されます。それだけ重要な役割を担っていることに変わりはないからでしょう。

ましてや中日が来季も広いバンテリンドームを本拠地として戦うのであれば、投手を中心に守り勝つ形を整えてこそ、上位争いが望めます。勝敗数だけで投手の報酬を決める時代でもありません。今季の現象を球団がどう評価するかによって、今後のビジョンの有無や指針も見えてくるのではないでしょうか。(日刊スポーツ評論家)