連覇を狙う阪神の開幕戦は、華々しい雰囲気に包まれた東京ドームで、新生巨人に白星を献上する形になった。

吉田 長い90年の歴史と伝統のある巨人が強くないと“伝統の一戦”は盛り上がりませんわ。いいんじゃないですか。新監督のホームでの初陣でもあったし、今日だけは巨人が勝っても良かったんじゃないですか。阪神にとって、この開幕戦は「143分の1」に過ぎない。岡田もほとんど作戦を繰り出すことができず、打つ手がなかったですな。明日勝てばええことですからね。この1敗はそれだけのことですわ。

勝負ごとに“たら”“れば”は禁物だが、3回表1死一、二塁、森下の打球に巨人梶谷の好守がなければ阪神が先制し、流れは変わっていた。

吉田 梶谷のファインプレーはめったにお目にかかれない。青柳はその梶谷を2三振にとっていたが、5回の3打席目にまんまと2ランを浴び、相手に流れは傾いた。目についたのはその前の5回1死三塁、佐々木が慣れていないのか、セーフティーのようなスクイズを試みた。これがファウルになった後、遊ゴロの間に1点を失う。木浪が好送球していればアウトだった。今年の巨人は打つだけでなく、細かい作戦もあるのかな? と思わせる場面でもあった。

吉田阪神が連覇を狙った1986年(昭61)の開幕になった大洋戦(横浜)は7対8で競り負けた。2カード連続負け越しで重苦しかった。

吉田 あの年は阪神の強力打線を封じ込めるかのように、球審に低めのストライクをとられまくった印象が強い。投手中心で、守りを固めることです。打つほうは、1、2番が引っ張ること。周囲から「連覇、連覇」と期待が大きいから多少肩にも力が入ってしまう。長いシーズン、謙虚に戦い抜くことです。【取材・構成=寺尾博和】

巨人対阪神 5回裏巨人1死三塁、遊撃手木浪の野選で三塁走者吉川が生還した場面で、リクエストを行使する岡田監督(中央)(撮影・鈴木みどり)
巨人対阪神 5回裏巨人1死三塁、遊撃手木浪の野選で三塁走者吉川が生還した場面で、リクエストを行使する岡田監督(中央)(撮影・鈴木みどり)