評論家になって10年目で、ロッテの優勝予想は今年を含めて2度目になる。何事も戦力だけをフラットに見て決めるスタイルで、優勝予想にしたのは佐々木と種市の2人で最低でも25勝はするだろうと踏んでいるからだ。2人の力量からすれば、決してむちゃな数字ではない。

そして迎えた佐々木の公式戦初戦となった。私の目が曇っているかを確認する評論となった。5回6安打、7奪三振、1四球での1失点。オープン戦ではフォームのバランスを崩す場面もあったが、そこはしっかり修正してきた。

球筋もシュート回転するボールはなく、真っすぐも変化球も制球は悪くなかった。5回を投げ、併殺の間に1点を取られたが、最低限の仕事はした。

5回を投げ95球で降板したが、私はまだ行けるのではないかと感じたが、それは吉井監督のベンチサイドのマネジメントになるため多くは語らない。

1試合に限り爆発的な成績を収めるより、中6日を守りながら試合を作り、勝ち試合の流れで後ろに託すことが大切な役割になる。

そのための工夫も見えた。得点圏に走者を置いた状況では、ギアを上げる意識が感じられた。逆に走者がいない時は、やや力感が抜けたように見えた。こうしたメリハリは長いイニングを投げるためには必須。ダルビッシュや田中将も、打順によって別人のような投球スタイルだった。

6回から継投に入り、完璧なロッテの勝ち試合だったが、8回裏のスクイズ失敗など、スキを見せたことは大きな反省点だろう。特に9回表の守り、1死一塁では田宮の右中間への飛球に、センター和田、ライト山口が捕球体勢に入りながら声の連係が足りずグラブが交錯。落球(記録は三塁打)で同点。さらに抑えの益田が打たれ逆転された。

これは自滅以外の何物でもない。佐々木、種市が投げる試合で、リードして試合を終わらせることができないようでは。絵に描いたような詰めの甘さを露呈した。

優勝予想をしておきながら、敗因分析のとどめを刺すのも皮肉だが、ここは言わせていただく。逆転された直後の9回裏1死一塁。ポランコの二直で一走藤岡が帰塁できず併殺でゲームセット。こういうところだろう。優勝できるものも、できなくなりますよと、ここはあえて厳しめのコメントで戒めを促したい。(日刊スポーツ評論家)