まだ始まったばかりとはいえ、巨人にとっては今後に引きずりそうな嫌な敗戦になった。2カード連続で3連戦の初戦を落としたが、今季2度目の先発で状態がよかったグリフィン。DeNAの先発は来日初登板のケイだけに、なんとしても白星で連敗を避けたい試合だった。

期待のグリフィンは3回をパーフェクトピッチング。打線も初回に1点を先取し、序盤は巨人ペースの流れだった。しかし、4回1死から何でもないサードゴロを坂本が悪送球すると、佐野、牧、宮崎に連打を浴びて、アッという間に逆転を許してしまった。

グリフィンには気の毒だが「エラーは野球に付き物」と言われるように、気持ちを切り替えなければいけない。とはいってもミスでリズムが狂ったにもかかわらず、2失点に踏みとどまっている。ケガでもしていなければ、ここからが勝負といった感じだと思っていた。

直後の4回裏、ミスをした坂本が先頭打者で執念のセンター前ヒット。長野もヒットで続いた。1死一、三塁から8番・吉川の打球は三ゴロだったが、三塁走者の坂本がいいスタートを切ってホームはセーフ。同点に追いついき、グリフィンを打席に迎え、阿部監督は代打・萩尾を告げた。

グリフィンにアクシデントがあれば話は違うが、この代打には驚かされた。ピッチャー心理から言えば、逆転されたのはエラーだし、打席に入るときは同点に追いついていた。イニングも4回で、球数は62球だった。まだ投げられると考えるのが普通だし、グリフィン自身も投げたかったのではないだろうか。

代打の萩尾はレフト前ヒットを放ち、浅野の犠牲フライで勝ち越し。同点打にしてもヒットエンドランを絡めての得点であり、ここまではベンチの戦術がもたらせた逆転だといっていい。しかし、逆転した5回以降、グリフィンを降板させたリスクが出てしまった。2番手の井上は門脇のエラーもあってあっさりと同点にされると、3番手の松井は連続押し出しで逆転されてしまった。

グリフィンに代打を送って勝負をかけるなら、中盤とはいえ実績ある投手で勝負していく手があった。井上、松井にしても制球力が悪く、突然、登板したような内容だった。問題は急展開した流れでもあり、ブルペンとの連携がしっかりできていたか、もう一度確認する必要があるだろう。

現代野球は継投策が必須。実際、この試合の勝利を確定させたのは、DeNAの2番手で投げた上茶谷が3回をピシャリと抑えたところにあると思う。今季の巨人は中継ぎ陣を補強したが、逆転されたパターンだけを見れば、昨年と同じような負け方だった。グリフィンの精神状態も心配だし、巨人にとっては痛い敗戦になった。(日刊スポーツ評論家)

巨人対DeNA 力投する巨人先発のグリフィン(撮影・浅見桂子)
巨人対DeNA 力投する巨人先発のグリフィン(撮影・浅見桂子)