阪神が完勝で8月2日以来、42日ぶりに2位に浮上した。首位巨人とのゲーム差も3に縮まった。阪神OBの日刊スポーツ評論家・岩田稔氏(40)は4打点をたたき出した1番近本光司外野手(29)の「嗅覚」を絶賛。2打席目と3打席目の違いに注目した。【聞き手=佐井陽介】
◇ ◇ ◇
阪神が2点を勝ち越した場面、1番近本選手の嗅覚が勝ったように映りました。1-1の同点で迎えた4回2死二、三塁。広島大瀬良投手が投じた初球の高め直球を振り抜き、ライナーで中前に適時打。この打席はファーストストライクから勝負をかけにいっていたのではないでしょうか。
近本選手は1点を追う2回2死満塁での2打席目、押し出し四球を選んでいます。初球は外角ボールゾーンから入ってくるカットボール、いわゆる「バックドア」を見逃し。2球目以降は外角へのボール球に手を出さず、最後は低めの直球を見極めました。1球もスイングせずに四球を奪った打席は当然、広島バッテリーの脳内にインプットされていたはずです。
そして迎えた4回の3打席目。個人的には広島バッテリーとの駆け引きに注目していました。2回と4回では好機の出来上がり方に違いがありました。2回は3安打が絡んでの満塁。一方の4回は四球絡みの二、三塁でした。1死から8番梅野選手が際どいボールを見極め、フルカウントから四球を奪取。この四球が投手に与えた影響を考えれば、近本選手の初球勝負は非常に理にかなった作戦だったように感じます。
投手は際どいコース、高さをボール球と判定されると、無意識のうちにボールが内へ内へと入ってしまうものです。しかも近本選手は前の打席でじっくり見極める姿勢を選択していました。そうなると、投手はどうしても1球目からストライクが欲しくなる。そんな投手心理も読んでいたのかもしれません。インコース要求が甘く入った初球を狙い澄ました近本選手。その嗅覚と技術は「さすが」と表現するしかありません。(日刊スポーツ評論家)




