阪神は藤川新監督の下で再出発する。私は監督が交代した時から、捕手をどうするのか問題を考えてきた。梅野、坂本を中心に回すのか、あるいは新戦力を試し育てるのか、その手腕が試されると。

宜野座での紅白戦は、私のテーマと合致したものとなった。5年目栄枝裕貴(26)と4年目中川勇斗(21)が先発マスク。となれば、試合前から見るべきものは1つだった。

栄枝は打者中川に、中川は打者栄枝に決して打たせてはならない。鬼の配球が必要であり、それに徹せられるか。この時期の紅白戦で、捕手は9つあるポジションの中で唯一、ライバルを活躍させないことができる特殊性を備える。

四球をいとわず、絶対に打たせないこと。全球フォークも構わない。それくらいの強い気持ちで向かう局面だろう。まず栄枝は打者中川に対して3ボールから2球ファウルでフルカウント。最後は内野フライに打ち取った。

スピードガン表示だけでは正確な球種は判断できないが、見た感じでは3ボールから変化球を3つ続けている。四球を嫌がり、安易に真っすぐを選択しなかったことからも、捕手栄枝には「戦ってんなあ~」という印象を受けた。

一方の中川は栄枝に対して淡泊だった。初球真っすぐでファウル、2球目変化球がボール、3球目は外角への真っすぐを中前打された。真っすぐ、変化球、真っすぐという流れにも工夫、細心の注意は感じなかった。同じ真っすぐにしても、もっと厳しいコースを要求すべきだった。

この後、中川は藤田に交代。藤田は打者栄枝に外角真っすぐを痛打され右中間三塁打を許した。そして、その栄枝も藤田に対して初球真っすぐを中前打された。「詰めが甘い」と言わざるを得ない初球の入り方だった。

特に中川は2回表のイニング間の投球練習で、セカンドスローを大きく乱した。そして3回にはワンバウンド送球で盗塁も許した。打者栄枝への攻め方、そして守備面でのスキはいただけない。アリの一穴という言葉がある。少しの不安が広がり、崩れてしまう。まず、当面の敵に対して、絶対にスキを見せてはいけない。

この先に梅野、坂本への挑戦があることを肝に銘じてほしい。と同時に、打力があれば、決して2人を超えられないことはない。打ってアピールし、ライバルには鬼の配球で封じる。しばらくは阪神の若手捕手のしのぎを削る戦いが続きそうだ。(日刊スポーツ評論家)

▽阪神藤田(2打数2安打と打撃で活躍)「初球から振れる準備をした中でいい結果が出た。しっかり継続していけたら」

紅白戦 4回表紅組2死一塁、栄枝は右中間へ適時三塁打を放つ(撮影・上田博志)
紅白戦 4回表紅組2死一塁、栄枝は右中間へ適時三塁打を放つ(撮影・上田博志)
紅白戦 3回表紅組無死、栄枝は中前打を放つ。投手椎葉(撮影・加藤哉)
紅白戦 3回表紅組無死、栄枝は中前打を放つ。投手椎葉(撮影・加藤哉)
紅白戦 1回を終え、栄枝(右)と話しをしながらベンチに戻る紅組畠(撮影・藤尾明華)
紅白戦 1回を終え、栄枝(右)と話しをしながらベンチに戻る紅組畠(撮影・藤尾明華)
紅白戦 2回裏白組無死、中川勇斗の三球を捕球するヘルナンデス(撮影・藤尾明華)
紅白戦 2回裏白組無死、中川勇斗の三球を捕球するヘルナンデス(撮影・藤尾明華)
紅白戦 3回表紅組2死一塁、中川は打者アルナエスのとき一塁走者野口の二塁盗塁を阻止するため送球するがセーフとなる(撮影・加藤哉)
紅白戦 3回表紅組2死一塁、中川は打者アルナエスのとき一塁走者野口の二塁盗塁を阻止するため送球するがセーフとなる(撮影・加藤哉)
紅白戦 1回を終え、中川と話しをする白組伊藤将(撮影・藤尾明華)
紅白戦 1回を終え、中川と話しをする白組伊藤将(撮影・藤尾明華)
紅白戦を終えドーム内で特守を行う左から中川、栄枝、藤田、町田(撮影・加藤哉)
紅白戦を終えドーム内で特守を行う左から中川、栄枝、藤田、町田(撮影・加藤哉)
紅白戦 観戦する日刊スポーツ評論家の里崎氏(撮影・加藤哉)
紅白戦 観戦する日刊スポーツ評論家の里崎氏(撮影・加藤哉)