日本ハムは初回の攻撃で試合の大勢を決めた。先頭からの5連打を含む7安打で6点を奪ったが、カギは2番今川優馬外野手(28)だった。無死一塁で、まずは2球続けて空振り。左手の小指がグリップエンドからはみ出すほど、バットを目いっぱい長く持っていた。だが、3球目は一転、拳1つ分ほどあまらせて短く持ち、外角高めに入った真っすぐを逆らわずに右前へと運んだ。好機を広げ、先制点を呼んだ。
今川は遠くに飛ばせるのが魅力の選手。ベンチも長打を期待しているはず。最初の2球は自分の持ち味を前面に出したスイングだったが、追い込まれると正反対に短く持ち、つなぎに徹した。打席での感覚を重視しているのだと思う。2回の第2打席は初めから短く持った。ただ、結果は空振り三振。すると第3打席からはずっと長く持ち、二塁打を2本重ね、長打という本来の期待に応えた。特に6回は1死走者なしからの二塁打で、この回の3得点のきっかけを作った。表の守りで3点を失った直後だっただけに、非常に効果的な追加点となった。
日本ハムが、ここからソフトバンクを逆転し、優勝するには何が必要か。主力選手の活躍が欠かせないのは言うまでもないが、「ラッキーボーイ」も求められる。まさに今川がそう。9日の直接対決では約4カ月ぶりの1軍で決勝ソロを含む3安打3打点。もし同戦を落としていれば、5ゲーム差に離されており、優勝はかなり遠のいていた。今川の状態の良さを見極め、落とせない一戦に抜てきした新庄監督の“目利き”が物をいった。
もう1人のラッキーボーイは山県だ。9日のソフトバンク戦では2本塁打を含む3安打3打点で、この日は2安打1打点。初回には4点目の適時打を放った。守備でも好プレーを見せた。遊撃スタメンを張っていた水野に代わり、申し分ない仕事を続けている。今川がつなぎ、山県がかえす。新庄監督が抜てきした2人が機能した。
もちろん、ラッキーボーイがずっと機能すれば一番だが、そう甘くもない。2人の状態が落ちたとき、代わって旬な選手をどうチームにはめ込み、使っていくかが重要だ。この日、ソフトバンクが敗れ、ゲーム差は再び2に縮まった。一戦の重みがさらに増していく中、新庄監督の選手の見極めが逆転優勝への大きなカギになるだろう。(日刊スポーツ評論家)




