日に焼けた顔に、大粒の汗を浮かべていた。高卒1年目のDeNA細川成也外野手(19)が、横浜スタジアムでの2軍戦を終え、用具を運びながら言った。「打てるようになりたいです」。心の中で、何度も何度もつぶやいているであろう言葉。開幕からファームでの実戦経験を積みながら、悪戦苦闘の日々が続く。それでも、少し精悍(せいかん)さが増しているように見えたのは、8月4日に19歳になったからだけではない。

 2月の春季キャンプでは、鮮烈なデビュー弾を打った。1軍初の対外試合となった阪神との練習試合で起用され、対プロ初打席で本塁打。茨城・明秀学園日立時代に高校通算63本塁打誇ったパワーから「茨城の中田翔」として一気に注目を集めた。あれから半年。そのDeNAの将来を背負う潜在能力を買われ、高田繁GM(72)が「とにかく網谷(圭将捕手=19)と細川はたくさん打席に立たせる」というチーム方針のもと、ファームでの規定打席に到達も三振の数はダントツ1位。プロの壁にぶち当たって、もがいている。

 「ゆるい球が打てなくて。今は引き付けて逆方向へ打てるように練習しています。ボールの見極めも大事ですし。ボールが見えるようになっている感触はあります。でも今までのスイングじゃプロの世界で通用しない」。高校までとは違って、毎日のように試合は続く。試合前の練習だけではなく、寮に帰ってからも門限の11時まで打撃マシンで打ったり、素振りをする日々。気持ちの浮き沈みを抑えるように、毎日欠かさず続けているという。

 あのホームランの感触は忘れていない。「よく打ったなと思うときはあります」。ファームでの本塁打は8月11日時点で4本。目標には10本を掲げている。「焦りはものすごくあります。こんなに使ってもらっているので、もっともっと期待に応えないといけない」。そう言って汗をぬぐい、今日も夜までバットを振る。【DeNA担当=栗田成芳】