当たった瞬間に崩れ落ちた。パCSファイナルステージ第3戦で中村晃が放った2ランが右翼スタンド最前列の女性ファンの頭部を直撃した。テレビ中継でもハッキリ映っていたので心配するファンも多かっただろう。応急処置後、病院に行ったが裂傷で数針縫ったが、打撲で脳には異常はなかった。

 このような打球が当たったファンの世話をするのが興業運営部の飯島一彦さん(41)。医務室には1試合に2、3人が打球を当てて運ばれてくる。スタンドで氷などを使い応急処置する客はさらに多い。「打球に手を出したら意外と硬くて…というお客様が多いですね。跳ね返った打球が思いがけない方向から飛んできて当たるケースも多い」。ホークスでも投手として活躍した飯島さんは、社会人の新日鐵君津時代に投手ライナーを右ほおに受け陥没骨折した。当たった瞬間は意識を失った。1カ月入院し、今でも右ほおにはワイヤが入っている。「硬球は石みたいなもの。せっかく球場に観戦に来てもらっているのに、ケガしてもう来たくないと思われるのが一番悲しい。まず手を出さず避ける。よそ見していて笛の音が聞こえたら顔を上げず逆に伏せて」と話す。誰にも痛い思いはさせたくない。飯島さんは来季以降も注意喚起を行っていく。【ソフトバンク担当=石橋隆雄】