プロ野球界で禁句は「タラレバ」だ。まあ、あの時こうしていれば、こうしていたら…というのは何も野球の世界に限ったことではないが、通り過ぎた「過去」を振り返ってもしょうがない。ただ、同じ「タラレバ」でも未来を仮定した「もし」が付くとガラリと内容が変わってくる。もしケガが起こったら、もし絶不調になれば…。だから準備が必要ということになってくる。キャンプは「危機管理」の場でもある。

 キャンプも中盤に入った。紅白戦も次クールから始まる。この日、シートノック、シート打撃の練習を見ていて思った。内野の要である今宮がケガをしたらどうするのか? 今宮だけではない。内川、松田、柳田…レギュラー陣がアクシデントに見舞われたときはどう対処していくのか…。今宮の件は担当コーチでもある水上内野守備走塁コーチに聞いた。「そうなったら、今は高田かな。まあ慶三(川島)、西田もいるから」。確かに彼らは遊撃のポジションに入って汗を流している。戦力を整えるというのはレギュラーを決めると同意語ではない。若手の成長に目を配りつつ、あらゆる「危機」に注意を払いながら布陣を敷くのだ。すでに中継ぎの五十嵐が離脱し開幕入りが絶望的。サファテにつなぐ中継ぎの用兵も昨年とは変わってくる。「戦う」姿勢と同時に「守る」陣形も必要になってくる。そのあたりは“王者ホークス”といえども、まだ選手のポテンシャルに頼っているような気がする。【ソフトバンク担当 佐竹英治】