楽天で日本球界に復帰した11年からの4年間と、今年の西武で担当した。松井の言葉で強く覚えているのは「ああ、地元孝行がしたい」だ。11年4月、チームで東日本大震災の避難所を訪問した後に漏らした。改めて、あの時の経験の意味を聞いた。「難しいなあ」と20秒近く考え、答えてくれた。「被災地にも行ったけど、逆に『頑張れ』と言われ勇気をもらった。結局、僕らは勝つことしかできない。西武に戻ってきてからも、すごい声援で」。

物心つく前からバットとグラブを持っていた。9歳の時、巨人ファンの父に連れられ、甲子園でバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発を目撃したのが、ちょっとした自慢でもある。

野球ファンの少年は、やがてファンを魅了する名選手となった。引退会見の最後は「ファンあってのプロ野球。ファンあっての選手。感謝して戦っていきたい」と締めくくった。【西武担当=古川真弥】